認知症の親と相続

認知症の親と、その後見人も相続人である場合の相続です。

聞いただけでもややこしいですね。

でも、高齢社会の今日、意外とあるパターンです。
もしこれから認知症の親御さんに後見人をつけよう、とお考えの方は留意してください。

少し分かりやすく、具体的な例で書きます。

父親がすでに亡くなっていますが、その相続の手続は済んでいません。
土地は父親名義、預金もそのままになっているとします。

母親はすでに認知症で、署名等出来ない状態です。

子供は兄弟二人、だとしましょう。

相続人のひとりである母親が認知症であるため、遺産分割協議書が作成できません。
ここで母親に後見人をつけることになり、長男が後見人となりました。

そこで遺産分割協議書は作成できるでしょうか。

これは昨日の未成年者の子供が相続人に混じっていた場合と同じで

母親も相続人、後見人である長男も相続人。
親子と言えども利益が対立していますので、いくら後見人だと言っても、長男の実印で母親に代わって捺印はできません。

この場合母親には、特別代理人を立てなくてはなりません。

後見人もたて、特別代理人も??

そうですね・・・
とても面倒なことになってしまいます。

特別代理人の選任の仕方は昨日のブログをご覧くださいね。

ご相談のケースで、実際こういうケースがありましたので、
最初から後見人は長男ではなく、長男のお嫁さんになってもらいました。
そうすると母親に特別代理人などたてなくても、後見人であるお嫁さんの捺印で遺産分割協議書は作成でき、
土地の登記も、預金の分割もスムーズに済ませることができました。


ただ、この場合長男夫婦が20年に亘り両親と同居して、お母様が認知症になられてからは、お嫁さんが仕事を辞めて献身的に介護された、という経緯があります。
そこで、お母様の預金管理や、後見人となって身上監護にあたるのもお嫁さんがふさわしいだろうと判断し、家庭裁判所にも相談の上、後見人となってもらいました。

また後見人には申立てると、裁判所で判断した報酬が本人の財産から支払われますが、こちらもアドバイスして申立てをしてもらいました。
嫁だから、といって報酬がもらえないことはありません。

同時に兄弟の一人の弟さんには、私からこの制度についてよくご説明し、その点の理解をしてもらいました。

お仕事を戴く上で私情が入ってはいけませんが、
このお嫁さんは長男の嫁として忍耐強く、家のこと、子供のこと、親のことをこなし、ご自身の資格を生かした仕事もすべてやめられて、それにあたってきました。
またそれに感謝し、妻が後見人となることに理解を示されたご主人、ご兄弟も立派です。



そういえば、先日夫の妹から電話がきて

妹の夫の兄弟で同じケースになり、

「お義姉さん、お義母さんの特別代理人を誰かお願いできない~?」


はじめから相談してくれればよかったのにね・・・・kao08


後見制度は本人の財産を守るための制度であり、決して子供たちの遺産分割のためにあるものではありませんが
どうしても利用しなくてはならなくなったとき、一番スムーズなやり方はなにか?
と考えるのも大事です。


悩まれたときはどうぞご相談くださいね。

ご相談はしかない行政書士事務所まで。








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Posted by しかない行政書士事務所 at 18:00│Comments(0)成年後見制度
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