種類株式:定款記載について(悩)
2011年04月26日
事業承継の場面で、議決権制限株式を発行して経営権を集中させるというのは、なかなか使えるスキームでしょう、というのは先日のセミナーでも話したところです。
事業承継ではないが、今取り掛かっている設立が、まさにこの種類株式の発行会社。
小さく初めて、将来の増資時に資本は欲しいが経営には参画してほしくない、というヤツ。
今回は完全無議決権株式を考えている。
そのほかにも業務執行役員制度の導入や、私募債の発行など、
どの程度まで定款に盛り込むか、考えた。
社債は、まあ記載しなくてもよいだろう。
業務執行役員は、各論があるようだが、とりあえず今回は記載はしないことにした。
しかしこの無議決権株式にはこの1週間ほど、苦しんだ。
完全無議決権株式は発行することは可能。
会社法108条1項には、9種類の種類株式について記載されている。
そして第2項でそれを発行するときに定款に記載すべき事項についての説明。
そこまではよいのだ。
悩んだのは108条3項。
2項各号に定める事項については、原則定款に記載しなくてはならないが、そのうち一定の事項については、当該株式を発行するまでに株主総会の決議(または取締役会)で定めればよいとされ、それは定款記載事項となっている。
この一定の事項以外の事項というのは、つまり「議決権制限株式」の明記である。
それもわかる。
よくわからないのは、3項カッコ書きの部分について。
つまりこれは、剰余金についての定めに限定されるのか?
何度も打ち合わせして公証人ともその件は確認した。
しかしそれをクリアして今度は、「内容の要綱」について、だ。
その具体的記載例がなにを知らべても出てこない。
参考書やら、ネットからの打ち出しで机の上がピサの斜塔状態だ。
そしてまた施行規則の20条。
「定める事項は・・・、定める事項以外の事項」なんて書かれると???
いっそ「この事項について書いてよね」と言ってほしいものだ。
この108条3項最後の1行のために眠れぬ(?)夜を過ごす。
定款原案を送ると、いつもその日のうちに返信してくださる公証人からも丸1日返事がない。
二日目、ようやく文例を送ってくださった。
しかしまだ腑に落ちない。
完全無議決権株式は、すなわち優先株式となるのか。
であれば、この「内容の要綱」の書き方にも注意しなければならない。
法務局にもこれが登記事項となるのか問い合わせてみたが
前例に乏しく、調べます、という返事。
さらに、公証人が言うような
「完全無議決権株式はとりもなおさず優遇株式である」
という条文がどこを探しても見当たらない。
議決権がないのだから、配当を優遇すべき、という(常識?)はわかる。
しかし、優遇するというのは強硬法規的な意味なのか?
けれども法105条に株主の平等が謳われているので
これをもって完全無議決権株式は優遇されねばならない、という解釈になるのか?
105条1項 1号、2号の権利を与えない旨の定款の定めは効力を有しない。(105条2項)
しかし3号の剥奪(?)はOKなのだ。
反対解釈すれば、1号2号の権利があれば3号の権利を剥奪しても、株主の利益は保たれるということである。
議決権という経営参加権と、配当を受けるという経済的受益権は株主にとって守られるべき権利というところ、経営参加の部分を無議決権株式という形で突きつけるので、株主の権利は経済的受益権のみ、ということになる。法に明記はないものの、その部分を普通株式に優先しなければ、この105条の意図が完全とはならなくなる、という解釈に勝手にたどり着いた。
そんなこんなで何度も公証人と打ち合わせと議論を繰り返し、
法務局にも確認がとれた。
株式の内容の細目については、実際の種類株式発行時に登記するとのこと。
今回は発行可能株式総数の登記のみ、ということらしい。
(そうなんだ~?)
とりあえず、この定款内容で問題ないとのこと。
ひとまず納得。
定款の条文もすっきりとまとまった。
まあ、この1週間ほど、108条3項に取りつかれていましたが
とりあえずすっきりと便秘が解消したような気分です。
108だからまるで除夜の鐘。。。(悩んだわ~)
それにしても、もう少しわかりやすく条文を作ってよね、と思うのでありました。
(疲れた~)
事業承継ではないが、今取り掛かっている設立が、まさにこの種類株式の発行会社。
小さく初めて、将来の増資時に資本は欲しいが経営には参画してほしくない、というヤツ。
今回は完全無議決権株式を考えている。
そのほかにも業務執行役員制度の導入や、私募債の発行など、
どの程度まで定款に盛り込むか、考えた。
社債は、まあ記載しなくてもよいだろう。
業務執行役員は、各論があるようだが、とりあえず今回は記載はしないことにした。
しかしこの無議決権株式にはこの1週間ほど、苦しんだ。
完全無議決権株式は発行することは可能。
会社法108条1項には、9種類の種類株式について記載されている。
そして第2項でそれを発行するときに定款に記載すべき事項についての説明。
そこまではよいのだ。
悩んだのは108条3項。
2項各号に定める事項については、原則定款に記載しなくてはならないが、そのうち一定の事項については、当該株式を発行するまでに株主総会の決議(または取締役会)で定めればよいとされ、それは定款記載事項となっている。
この一定の事項以外の事項というのは、つまり「議決権制限株式」の明記である。
それもわかる。
よくわからないのは、3項カッコ書きの部分について。
つまりこれは、剰余金についての定めに限定されるのか?
何度も打ち合わせして公証人ともその件は確認した。
しかしそれをクリアして今度は、「内容の要綱」について、だ。
その具体的記載例がなにを知らべても出てこない。
参考書やら、ネットからの打ち出しで机の上がピサの斜塔状態だ。
そしてまた施行規則の20条。
「定める事項は・・・、定める事項以外の事項」なんて書かれると???
いっそ「この事項について書いてよね」と言ってほしいものだ。
この108条3項最後の1行のために眠れぬ(?)夜を過ごす。
定款原案を送ると、いつもその日のうちに返信してくださる公証人からも丸1日返事がない。
二日目、ようやく文例を送ってくださった。
しかしまだ腑に落ちない。
完全無議決権株式は、すなわち優先株式となるのか。
であれば、この「内容の要綱」の書き方にも注意しなければならない。
法務局にもこれが登記事項となるのか問い合わせてみたが
前例に乏しく、調べます、という返事。
さらに、公証人が言うような
「完全無議決権株式はとりもなおさず優遇株式である」
という条文がどこを探しても見当たらない。
議決権がないのだから、配当を優遇すべき、という(常識?)はわかる。
しかし、優遇するというのは強硬法規的な意味なのか?
けれども法105条に株主の平等が謳われているので
これをもって完全無議決権株式は優遇されねばならない、という解釈になるのか?
105条1項 1号、2号の権利を与えない旨の定款の定めは効力を有しない。(105条2項)
しかし3号の剥奪(?)はOKなのだ。
反対解釈すれば、1号2号の権利があれば3号の権利を剥奪しても、株主の利益は保たれるということである。
議決権という経営参加権と、配当を受けるという経済的受益権は株主にとって守られるべき権利というところ、経営参加の部分を無議決権株式という形で突きつけるので、株主の権利は経済的受益権のみ、ということになる。法に明記はないものの、その部分を普通株式に優先しなければ、この105条の意図が完全とはならなくなる、という解釈に勝手にたどり着いた。
そんなこんなで何度も公証人と打ち合わせと議論を繰り返し、
法務局にも確認がとれた。
株式の内容の細目については、実際の種類株式発行時に登記するとのこと。
今回は発行可能株式総数の登記のみ、ということらしい。
(そうなんだ~?)
とりあえず、この定款内容で問題ないとのこと。
ひとまず納得。
定款の条文もすっきりとまとまった。
まあ、この1週間ほど、108条3項に取りつかれていましたが
とりあえずすっきりと便秘が解消したような気分です。
108だからまるで除夜の鐘。。。(悩んだわ~)
それにしても、もう少しわかりやすく条文を作ってよね、と思うのでありました。
(疲れた~)
Posted by しかない行政書士事務所 at 22:24│Comments(2)
│起業・経営
この記事へのコメント
すっきりして何よりです^^
前例の少ないのは大変ですね。
>それにしても、もう少しわかりやすく条文を作ってよね、と思うのでありました。
同感!確かにそう思います。
前例の少ないのは大変ですね。
>それにしても、もう少しわかりやすく条文を作ってよね、と思うのでありました。
同感!確かにそう思います。
Posted by こうたん at 2011年04月27日 08:28
中島さん、こんにちは。
コメント有難うございます。
ほんと、納得できるまで気持ち悪くて、気持ち悪くて・・(笑)
あくまで客観的に表現すると、ああいう書き方になるのでしょうが、私などは読み解くのに苦労します。やっぱり、トシかな・・?(笑)
コメント有難うございます。
ほんと、納得できるまで気持ち悪くて、気持ち悪くて・・(笑)
あくまで客観的に表現すると、ああいう書き方になるのでしょうが、私などは読み解くのに苦労します。やっぱり、トシかな・・?(笑)
Posted by しかない行政書士事務所 at 2011年04月27日 21:40